ウェルビーイングって何?教育にどう関連するの?
「ウェルビーイング(well-being)」という言葉を最近耳にすることが増えてきました。日本語では「幸福」や「しあわせ」と訳されますが、単なる気分の良さや一時的な楽しさではありません。文部科学省は次のように定義しています。
「身体的・精神的・社会的に良い状態にあることをいい、短期的な幸福のみならず、生きがいや人生の意義などの将来にわたる持続的な幸福を含む概念」(文部科学省「ウェルビーイングの向上に向けた教育の在り方」詳しくはこちら)
つまり「からだが元気」「こころが安定」「社会とのつながりがある」という三つが揃ってこそ、本当のウェルビーイングだと言えます。そして「自分が幸せである」だけでなく、「周囲や社会も豊かさを感じられること」も含まれるのです。

教育のゴールとしてのウェルビーイング
OECD(経済協力開発機構)が提唱する「Learning Compass 2030(学びの羅針盤2030)」では、教育の最終ゴールを「個人と社会のウェルビーイング」と位置づけています。

従来の教育が「学力の習得」に大きく比重を置いてきたのに対し、Learning Compass 2030は「知識や技能」に加えて「態度・価値観」や「社会との協働」を含む幅広い学びを重視しています。これは、将来子どもたちが直面するであろう多様な課題――AI社会や気候変動、格差問題など――に対応するために、ただ点数を取る力ではなく「幸せに生きる力」が必要だと考えられているからです。
PISAでもウェルビーイングを調べています
OECDは3年ごとに「PISA(学習到達度調査)」を実施しています。PISAは国際的な学力比較調査として有名ですが、学力テストだけでなく、子どもたちの生活や意識についてのアンケートも組み合わせています。実は2000年の初回から「家庭環境や学習習慣」についての質問はありましたが、2015年以降は「生活満足度」「学習意欲」「自己効力感」などウェルビーイングに直結する項目が拡充されました。そして2018年調査では「生徒のウェルビーイング」が正式に特集テーマとなり、孤独感や友人・教師との関係、生活習慣まで幅広く調べられました。つまり、PISAは単に学力テストではなく、子どもの「学びと幸せの関係」を探る調査に進化しているのです。
学校での取り組み
では実際に、日本の学校ではどのようにウェルビーイングに取り組んでいるのでしょうか。文部科学省は次のように述べています。
「ウェルビーイングの視点を教育に取り入れることで、児童生徒一人ひとりが自らの人生を主体的に切り拓き、持続可能な社会の形成に参画できるようにする」
(文部科学省「ウェルビーイングの向上に向けた教育の在り方 )
これを受けて、学校ではすでに次のような実践が行われています。
- からだのウェルビーイング
外遊びや体育を通じた体力づくり
バランスのとれた給食と食育活動
- こころのウェルビーイング
安心できる学級づくり(サークルタイム、あいさつ運動など)
スクールカウンセラー配置による相談体制
- 社会とのつながり(ソーシャル・ウェルビーイング)
協働的な学び(友達と話し合う授業)
地域との連携活動(町探検、自然体験、地域行事参加)
道徳や特別活動で「他者を思いやる」「社会に役立つ」視点を育む
これらはすべて、子どもたちが「心も体も健やかに育ち、社会の一員として関わる力」をつけることにつながります。
保護者の方にできること
学校での取り組みと並行して、家庭でもできることがあります。例えば:
「からだ」…十分な睡眠、食事、外遊びを大切にする。
「こころ」…子どもの気持ちに耳を傾け、安心できる家庭環境をつくる。
「社会」…友達や地域との関わりを応援する。
日々の会話で「今日楽しかったことはなに?」「困ったときに誰が助けてくれた?」と問いかけるだけでも、子どもは「自分の幸せ」や「周囲とのつながり」を意識するようになるそうです。
まとめると、ウェルビーイングとは、からだ・こころ・社会のバランスが整った、持続的な幸せのことです。言葉にするとすごくあたりまえのように聞こえますが、あらためてこのバランスに着目して、日々のくらしを見つめなおしてみると、見えてくるものがあるかもしれませんね?よろしければ、文科省やOECDのサイト、のぞいてみてください(清水)


